今回から、JARL選挙に電子投票が導入されました。WEB投票のお知らせハガキが、会員の皆様のお手元に届き始めたようです。
立候補者の所信(選挙公報)は、JARL Webに掲載されています。
https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/2-3_Kokuchi/2026/2026senkyo.htm#koho
どうか、棄権なさらず、投票をよろしくお願い致します。
「JARL選挙は重要と言われるけど、いったい何を選ぶのかよくわからない」という声を聞きます。私なりの解説を書いてみました。
「一般社団法人」って何?
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(法人法)に基づいて設立される法人です。
- 「社団」法人、つまり人の集まりです。財産に法人格を与える「財団」法人と区別されます。
- 2006年以前と異なり、官庁の設立許可は不要です。監督官庁はありません。JARLは、総務省や内閣府に監督される存在ではありません。自律したきちんとした事業運営が求められます。
- 一般社団法人は収益事業を行ってもよいのですが、営利法人である「株式会社」と異なり、営利(株主への配当)を目的とはしません。
- 営利を目的としないからといって、赤字を長年垂れ流し、ついに留保金の底が見えてくる状況を放置することが許されるわけではありません。団体としての継続性(最近の言葉で言えば、「サステナビリティ」)が求められるのは当然です。
- 森田耕司会長に交代してから、数々の事業合理化による経費削減がすすめられています(選挙の電子化、ハムフェアの業者交代による黒字化、QSLビューローに対する委託費の従量制化、理事会後の懇親会の自腹化などなど)。
- 他方で、会員サービスの質を確保し、改善するためには、経費削減ばかりでなく、規律ある経費支出も必要です。特に、今後2年間は、JARL創立100周年・日本におけるアマチュア無線100周年の祝賀期間です。アマチュア無線を盛り上げ、次世代に伝えるため、思い切った経費の支出=「投資」を行う絶好のチャンスです。
- 黒字(収入>経費)になると法人税がかかってきますが、赤字(収入<経費)であれば法人税を支払う必要はありません。JARLの活動の原資は会員からお預かりした会費ですので、税金よりは会員サービスに使われるべきであり、収入と支出のちょうどよいバランスを目指すことが大切だと思います。
JARLの「機関」
JARL Webの「JARLの組織」ページには、「JARLの組織には、社員総会、理事会、監事、地方本部、支部、委員会、および事務局があ(る)」と書かれています。このうち、法律で決まっている組織(機関)は、「社員総会」「理事会」「監事」だけです。
社員と社員総会
「社員」とは、一般用語の「従業員」という意味ではなくて、法律用語です。一般社団法人を構成する「人」のことです。JARLでは、会員から選挙で選ばれた者が、法律上の一般社団法人の「社員」として扱われることになっています。
「社員総会」は、「社員」が参加してJARLの基本的な事項を決める会議です。社員には、年1回の社員総会への交通費は出ますが、給料は出ません(無報酬です)。
社員総会の議案は、法律または定款に書かれたものに限られます。「ハムフェアを年2回にしよう」といった議案を決議することは、残念ながらできません。
社員の役割は、基本的には、社員総会に出席して質疑に参加し、投票を行うことに限られるのですが、意欲と能力に満ちあふれている方が多く、社員総会だけではもったいないと思います。今では、「社員・役員メーリングリスト」が開設され、時に活発な議論が行われています。
という次第で、社員には、会員の意見を真剣に代弁してくれる方、多くの仲間に支えられ、自分も動いてくれる方がふさわしいと思います。そういう方に投票して頂ければ、JARLはもっと盛り上がると思います。
理事・監事と理事会
理事会は、社団法人の進む方向性を多数決で決める極めて重要な機関です。理事会は理事で構成され、監事も同席します。理事と監事は、社員総会の決議で選任されます。
理事・監事は、無報酬です(専務理事には報酬が支払われますが、現在は空席です。)。交通費等の実費は多少支給されますが、全額ではありませんし、放棄もできます(私は基本的に交通費は頂いていません。)。どの理事も、いろいろな活動を持ち出しで行っているというのが実情です。
理事・監事は名誉職ではない
理事のうち、JARLの業務執行権限を持つのは、会長と専務理事と常務理事だけです。規定上、副会長は業務執行権限を持っていません。もっとも、業務執行権限のない理事も、会長の指示で一定の業務を行いますし、会長の業務執行を監督するという、重大な任務を負っています。忠臣は、時には主君の誤りを諫めることも必要です。
監事は、理事の職務の執行を監査します。監事には、理事等に対して事業報告を求めたり、業務及び財産状況の調査をしたりする強大な権限が与えられています。理事の行為の差し止めすらできます。監事は、法律や会計の専門家になっていただくのがよいと思います。
JARLに対し損害を負わせた理事・監事は、JARLに対し損害賠償責任を負います(法人法111条)。監督責任を怠った理事も、JARLに対し損害賠償責任を負うことがあります。なお、役員保険に入っているから安心と思っている役員がいるかもしれませんが、故意・過失のある役員(不正を知りながら放置し、監督責任を果たさない理事・監事)には、保険会社も保険金を出さないでしょう。
理事・監事には、他人の意見をよく聞き、事実に基づき、組織の将来にとってよりよい判断ができる人が適任だと思います。他人の意見を聞かない人、自分だけが正しいと信じ込み、他人の批判ばかりしている人は、理事にはふさわしくないと考えます。どこかでコールサインを聞いたことがあるとか、アマチュア無線にアクティブだからという基準で投票すべきではないと思います。JARL選挙は人気投票ではないのです。
JARLにおける「理事候補者」の選び方
法律では、理事・監事は「社員総会の決議」で選任されるところまでは決まっているのですが、その「候補者」の選び方は社団法人によってさまざまです。例えば、「役員推薦委員会」といった独立の機関を設けて候補者を選ぶ団体もありますし(例:Vリーグ機構)、理事・監事の候補者全員を会員の選挙により選ぶ団体もあります(例:情報処理学会)。
JARLの場合、理事・監事の候補者は、選挙と推薦のハイブリッド方式で選ばれます。
まず「理事候補者」ですが、2年に1度、4月に投票が行われるJARL選挙で、①全国理事候補者5名と②地方本部長10名が決まります。②地方本部長は自動的に理事候補者になることになっています。
その後、5月の理事会で、③理事会が推薦する理事候補者2名が追加され、合計最大17名の「理事候補者」が決まり、6月の社員総会に上程されます(JARL定款第21条第1項、JARL規則第26条第1項)。
JARLにおける「監事候補者」の選び方
「監事候補者」は、(過去の例では)2020年5月の理事会で、最大2名の監事候補者が決まり、6月の社員総会に上程されます(JARL定款第21条第2項、JARL規則第26条第2項)。
社員総会での承認
繰り返しますが、「理事候補者」も「監事候補者」も、6月に開催される社員総会で承認されないと、理事・監事になることはできません(JARL定款第21条第2項、JARL規則第26条)。
社員は、選挙で示された会員の意思に拘束されるべきだ、というご意見を聞くことがありますが、法人法上、そのような仕組みは取れませんし、実態はそう単純ではないと思います。社員総会に提示されるのは、あくまで理事・監事の「候補者」です。不適切な人が理事や監事になってしまうと、その悪影響は全国の会員に及びますので、理事の候補者が社員総会の反対で理事にはなれないことも当然あり得ると考えます。この人は理事にふさわしいのか、社員総会での承認・不承認がとても重要ですし、そういう判断ができる方が社員に選出されるべきです。
6月の社員総会で理事・監事の承認・不承認を決める社員は、今年のJARL選挙で選ばれる社員ではなく、2年前のJARL選挙で選ばれた社員です。2年前の選挙で示された会員の意思によって今後2年の役員の顔ぶれが決められるのは、奇妙ではありますが、現行制度はそうなってしまっています(この点を改革する定款・規則改正案は、昨年の社員総会で、残念ながら僅差で否決されてしまいました。)。
6月の社員総会の直後に、社員総会で正式に承認された理事・監事によって理事会が開催されます。この理事会で、会長、副会長、常務理事といった役職者が互選されます。この互選は、多数決で決まります。
今年の選挙で選ばれた社員の活動開始時期
今年の選挙で選ばれた社員の任期は、今年6月の社員総会の終了後に始まります。ですので、来年と再来年の社員総会には、今年の選挙で選ばれた社員が出席します。
もし、来年の社員総会前に臨時社員総会が開催されれば、その臨時社員総会には、今年の選挙で選ばれた社員が出席することになります。
(2026-03-30 記)
追伸:私、7K1BIB/山内貴博は、2026年JARL選挙において、全国理事に立候補しています。法律家としての知識・経験を生かし、常務理事として、JARLの業務の中枢で活動しています。ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
JARL選挙立候補に当たっての所信(2026年全国理事)
https://7k1bib.net/2026/02/17/shoshin-2026/
私を推薦してくださった皆様(JARL選挙2026)
https://7k1bib.net/2026/03/28/referee-2026/
私(山内)に関する差出人不明のメールについて(『【提起】今回のJARL理事会の内容について』と題するもの)
https://7k1bib.net/2026/03/12/emails-on-jarl-directors-meeting/
(蔵出し記事)「前会長・髙尾執行部に関する報告書」ができるまで
https://7k1bib.net/2024/03/08/report-on-former-jarl-executive/

