QSLビューロー問題と電子QSLについて

2023年7月29日に開催されたJARL第68回理事会報告が、QSLビューローや電子QSLについて触れていることが、波紋を広げ、誤解や憶測を招いているようです。私が知っている事実関係を整理しておきます。

「電子QSL委員会」の報告は最終決定ではない

理事会報告に添付されている各委員会からの2022年度の活動報告の中に、電子QSL委員会の報告書が含まれています(委員長:JF0JYR髙橋哲也理事)。

第68回理事会報告より

報告書の中に出てくる「第49回理事会に答申した電子QSL案」とは、QSL画像データをサーバーにアップし相手局がそれをダウンロードするだけの、単なる「画像アップローダー」でした(参照:2020年2月11日付け記事『JARLの「QSL画像あぷろだ」計画』)。これに初期費用1500万以上・運用費年500万弱をかけるというのです。2022年2月22/23日の理事会で否決されたのも当然のことだったといえましょう。

Turbo HAMLOGの作者として著名なJG1MOU浜田氏は、2015年から電子QSL委員会の委員でいらっしゃいましたが、遅々として進まない委員会に呆れられたのでしょう、2020年限りで委員を退任されました。そして、その年の4月16日には「HAMLOG専用の電子QSL構想」を公表され、4月19日には「HAMLOG E-Mail QSL」の最初のバージョンを公開されています。迅速な開発でした。

その後、浜田氏は、アップデートを重ねられ、3年の間に、2023年6月の送信件数は22万枚以上、ユーザー数は4000局を超えるシステムに育てられたのです。

他方、残された電子QSL委員会の委員たちは、同じ3年の間に「電子QSLの全体像・仕様について」議論?するばかりで、理事会への答申もありませんでした。今回の報告書は、松田理事の督促(第67回理事会第3号議題参照)を受けて、慌てて作って理事会に提出したものです。

意見書に『「hQSL」が公開されて以来観察を続けてきたが、当委員会が当初から検討してきたものと極めて近い形で交換の仕組みが実現された』とありますが、自分たちが実現できなかったことをひとりで実現された浜田氏に対し、何という”上から目線”でしょうか。浜田氏は紳士であり決して怒られませんが、あまりにも失礼ではないでしょうか。

意見書の末尾に、「JARL での電子QSL 交換システムの開発を断念し、「hQSL」を支援していく方向性に転換していくこと、JARL として「hQSL」の利用を推薦・推奨していくことにしたい。」とあることが、波紋を広げています。

ですが、委員会は、あくまで理事会を補佐する機関であり(定款第66条)、その意見は、理事会で承認されて初めてJARLの正式決定になります。この意見書は、理事会の承認を得ていません。したがって、「hQSL」の利用を推薦・推奨するという点は、JARLとして正式決定されたものではありません

「電子QSL委員会」は廃止された


ましてや、第68回理事会の第2号議題で、遅々として議論がすすまない「電子QSL委員会」は廃止され、新たに「QSL問題対策委員会」を設置することが決議されています。

新たに設置されたQSL問題対策委員会は、JARLとして電子QSLをどうするかだけでなく、ビューローの遅延問題もあわせて議論することになっています。したがって、電子QSL委員会の報告内容も、QSL問題対策委員会で見直されることになるでしょう。

以上について、JA1BJTさんが、的確なYouTube動画にまとめてくださっています。

【雑談】JARL 電子QSLどうなる? 電子QSL委員会廃止 開発断念 hQSL推奨? うわさを信じちゃいけないよ 2023/08/05 アマチュア無線 VLOG 304
https://youtu.be/783ujTI44vg

ビューローの「追加」など議論されていない

もうひとつ、なぜか、ビューローが「追加」されるといっている人がいますが、そのようなことは理事会で全く議論されていません。仮にビューローがふたつに増えたら、会員はどちらにカードを送ればよいのでしょうか。会員側もビューロー側も二度手間になり混乱するだけだと思います。

第68回理事会で議論されたのは、QSLカードの配送が大幅に遅延している問題を解消するために、「転送作業の一部を今のビューロー受託会社からさらに外部に委託すること」の是非です。ビューローの「追加」ではありません。

第68回理事会報告より抜粋

理事会報告には詳細が書かれていませんが、こういうことだそうです。つまり、今のビューロー受託会社では、受け取ったカードをまずは大きな単位に分け(エリアごと、あるいはプリフィックスごとでしょうか?)、次いで詳細に分けていく(おそらくサフィックスごと?)という二段階の仕分け作業を行っているそうです。このうち、カードを大きな単位に分ける作業であれば熟練工でなくてもできるので、ビューロー受託会社の外に新たに場所を借り、追加の人を雇って、滞留しているカードを大きな単位に分ける作業だけをやってもらうという構想とのことです。

悪くないアイデアだと思うのですが、問題は期間と費用です。滞留した膨大な枚数のカードをさばくには少なくとも1年くらい必要で、そのための追加費用は3千万円ほどかかる試算とのことです。理事会では、3千万をかけるメリットがあるのか、今後会員からビューローに届くカードの枚数を絞ってもらうことでビューローの処理能力の余力を生みだし、その余力で倉庫に滞留しているカードを処理していくことも考えられるのではないか、等々の意見がでて、継続協議になったそうです。

当然の議論でしょう。今後、新たに設置される「QSL問題対策委員会」で、ビューローの負担軽減策も含め、総合的に議論していただきたいものです。

なお、今回議論された「転送作業の一部の外部委託」は髙尾前会長の功績であり森田新会長の功績ではないと主張する人がいるようです。ですが、カード転送の遅延はもう何年も前から指摘されてきたのに、前会長はこれを放置し、カード削減の呼びかけも拒否してきました。その結果、JARLは滞留したカードを保管する倉庫を借り増しせざるをえなくなったのです(当然追加費用が発生しています。)。止むに止まれぬ状況に追い込まれた前会長は、ようやく事務局に外部委託の検討を許しましたが、その途中で会長辞任届を出して放り出したのです。森田氏が新会長に就任された時点で、外部委託をした場合の総経費の試算もできていませんでした。7月の理事会の直前になって3千万円もかかると判明したというのが事の経緯です。これをもって、どこが髙尾前会長の功績などといえるのでしょうか。

問題整理と私案(試案)

さて、以下はあくまで私の個人的な分析です。

まず、問題を整理してみましょう。

  1. 財政改善のために
    JARLの年間予算4億円のうち、紙カードの転送に7700万円もかかっています。7700万の内訳は、委託会社への委託料5500万+ビューローから会員への送料約2200万です。JARL全体の収支均衡を実現しビューローとJARLそのものを存続させるために、紙カード転送費用の「見直し」が必須です。
  2. 大量の滞留カードとその処理にかかる費用
    会員からビューローに送られるカードの枚数(一説には月に90万から100万枚)がビューローの処理枚数(約80万枚)を上回っているために、相当な枚数のカードが倉庫に滞留しており、余分な倉庫料が継続的にかかっています。滞留しているカードを急ぎ処理しようとすると、上記のとおりさらに数千万単位の追加費用が必要になります。これでいったん滞留分を処理できたとしても、ビューローに送られる枚数の超過が解消されなければ、数年後にはまた追加費用が必要になってしまいます。
  3. カード転送にかかる時間
    以前は、ビューローに到着したカードは3ヶ月ほどで転送されていたのに、今では10ヶ月から1年かかっているといわれています。そのため、期間限定のアワード(例:東京都支部50周年記念アワード)等の運営に支障を来しています。また、せっかく入会してくれた新会員は、1年経ってもカードがほとんど送られてこないという悲惨な状況が生まれています。
  4. 利用枚数の不均衡
    今は、年に数枚しかカード転送サービスを利用しない人も、数千から数万枚のカードを送る人も、7200円という同一の会費です。これは不公平であるという指摘もあります(バンドを活性化している人にメリットを、という声もありますが、バンドの活性化とカードの大量発行は、必ずしも直結しないように思えます。)。
  5. 電子QSLシステム
    紙カードを減らすために電子QSLを推進すべきであるという意見がありますが、既存の電子QSLシステムはどれも一長一短があります。かといってJARLが独自に電子QSLを今から構築するのは、もう時機を逸したように思います。ユーザーから見ても、ログのアップロード先がまたひとつ増えるのは面倒でしょう。
  6. 電子QSLと紙カードの重複
    電子QSLを送りさらに紙カードを送っていては、結局紙カードは減りません。
  7. IARUの要請
    実はIARUが、各連盟に対し、紙カードの削減を呼びかけているのです。

複数の問題が絡み合っていて複雑です。対策としては、例えば以下のように考えられるのではないでしょうか。

(1)JARLから会員に対し、紙カードの枚数削減を呼びかける。

  • 1枚のカードに複数のQSOを記載することを呼びかける。
  • 電子QSLを送ったら、紙カードは送らない(特にFT8)ことを呼びかける。
  • 同じ相手との交信については1枚(バンド・モードごとに1枚)にすることを呼びかける。
  • コンテストの全QSOにつき紙カードを送るのは避けることを呼びかける。
  • そもそも、カードの交換はQSOに必須ではないことを呼びかける。
  • ★あくまで「無駄な」カードの削減。必要なカード(アワードのため等)の発行まで抑制するものではないことを明示する。

(2)Turbo Hamlogを使っている人に、hQSLの利用を呼びかける。

  • JAで大きなシェアを占めているHamlogのユーザーがhQSLを利用するようになれば、ビューローに送られるカードの枚数は相当減ることが期待される。
  • JARLが会員向けの電子メールサーバーを構築し、hQSLの転送メールサーバーに指定してもらうことも考えられる(会員つなぎ止め策にもなる。)。
  • あくまで、Hamlogを使っているユーザーへの呼びかけ。他のログソフトを使っている人にHamlog/hQSLへの移行を求めるものではないことを明示する。

(3)hQSLに、adifのインポート機能と、既存の電子QSLへのログアップロード機能を追加する

  • hQSLにADIFのインポート機能があれば、他のログソフトを使っている人も、電子メールによる電子QSLの送信機能を利用できるようになる。
  • 電子QSLが普及しないのは、既存の電子QSLにログをアップするのに手間がかかるからである。そこで、既存の複数の電子QSLにログをアップする機能をhQSLに追加する。すでに世の中にはいくつかのログアップロードソフトが存在する(thw2LogBookなど)ので、技術的には可能なはずである。ただし、自局運用地(市区郡とGL)によってアップロードするアカウントを使い分けられるようにする等、細部を詰める必要がある。
  • また、Turbo HAMLOG自身に自局移動地を入力する欄がないため、移動先からの運用のログも常置場所からの運用ログとしてアップロードしてしまう局が多い。アワードに使えるログデータにするためのHAMLOGの改良が必要。
  • ソフトの改良をどういう体制でやるか?⇒JARLが委員会(分科会)をつくり、浜田氏の協力を得る。JARL公式の”hQSL互換ソフト”やログソフトそのものを開発することも考えられる。
  • JARL公式のソフトは、JARL会員は無料で利用可、非会員も有償で利用可とすれば、JARL会員増強と増収策になる。英語版も作れば世界中で利用されるかもしれない?

(4)電子QSLとJARLのアワード

  • そもそも、JARLのアワードのために「QSOデータのマッチング」は本当に必要なのか(紙QSLでは”片方向のマッチング”しか行われていないのに、なぜデータとなると”双方向のマッチング”が必要というのか。)。
  • もし電子QSLデータのマッチングが必要、となった場合、JARLが自前のQSOデータマッチングシステムを作る必要が本当にあるのか。既存の電子QSL(どれ?おそらくLoTWか)に任せ、JARL独自のマッチングシステムは作らなくてもかまわないのではないか(その方が、ログのアップ先が増えず、ユーザーにとってもありがたい。)。JARLとして独自の電子QSLの構築を諦めるとした旧「電子QSL委員会」の意見は承継するのでよいのではないか。
  • つまり、LoTWは、JCC/JCG/AJAの運用地別にログをアップロードできる機能を既に持っているので、AJD/JCC/JCG/AJA等のアワードをLoTWから申請できるようにさせてもらう。ARRLに支払う利用料の交渉が必要だが、特に海外からのアワード申請の増加(増収)が期待できる(珍市区郡のJA局が海外からバンバン呼ばれるようになるかもしれない?)。
  • もっとも相手のあること。ARRLがLoTWのサーバー上にJARLアワードの構築を許してくれるかどうか、費用面で折り合えるかはわからない。もしそれがむりであれば、LoTWのデータを読み出してアワード計算だけ行うサーバーをJARLで構築することはどうか。このほうが、新しいアワード(Challenge AJAのようなもの)を始めるのにも便利かもしれない(ただしユーザーの使い勝手と費用対効果の検証が必須。アカウントは共通にできるか等。)。
  • JARL独自のログマッチングシステムを持つべきという意見もある。最初は両論併記とし、委員会で綿密な調査・検討、ARRLとの交渉が必要。
  • なお、現在、ARRLにおいてLoTWの全面リプレースの検討が進行中であり、動向に注意する。

(5)ビューローの従量料金制?

  • 以上の対策の結果、ビューローに流入するカードの枚数が激減すれば(例えば今の半分)、ビューローに従量料金制は導入しなくてもよいかもしれない(従量料金制を避けるためにカードを減らしてほしいと呼びかける?)。カードの枚数が減っても、従量料金は導入するという考え方もあり得る。
  • 従量制を導入する場合は、会員がビューローに送る方に追加料金をかけるべきと思われる(会員がビューローから受け取る方に追加料金をかけても、受け取りを拒否されれば追加料金を回収できない。ビューローへの過大な負担を減らすためには、ビューローに送る方に負荷をかけて枚数を減らさないといけない。)。
  • 以前のステッカー方式ではなく、①ある一定の枚数以上については追加料金を支払ったことを示す証票(振込受付票)を同封しなければ転送作業に入らないことにする、②100枚入る封筒を販売しそれ以外では受け付けないといった策が考えられる。

(6)ビューローの存続?

  • 毎月80万枚を処理できる業者は、20年以上のノウハウがある今の委託先以外に考えにくい(「ビューローをアマチュア無線家のボランティアで」という意見も聞くが、JAの枚数を処理するのは到底無理と思われる。)。万が一今の委託先が事業を停止した場合、毎月80万枚を処理できる業者を探すのはほぼ不可能だが、例えば毎月30万枚であれば、引き受けてくれる業者が見つかる可能性が出てくると思われる。
  • 紙カード仕分けの機械化は、既に過去に検討し断念したとされる。転送先コールサインの読み取り技術は進化したかもしれないが、JARL会員6万局分にカードを仕分ける機械(ソーター)の技術は進化しただろうか。そもそもそのような巨大な機械を置くスペースは確保できるのか。開発費用等も考えると、ビューローの機械化はもはや非現実的と思われる。

(7)カードが減ると会員が減る?

  • 受け取るカードが1枚でもある限り、多くの会員は退会しないのではないか。言い換えれば、会員が会員であり続けるために、ビューローが存在することは必要だが、ビューローから送られてくるカードの枚数が大量である必要はない。
  • 「JARLの価値はカード転送以外ない」という意見も耳にするが、JARLがなければ、ハムフェアもコンテストもアワードも、各地のイベントも存在しない。総務省や各総通と交渉する主体もなくなる。JARLの価値をあまりにも矮小化した意見だと思う。もちろん、JARL自身が、カード転送サービス以外の会員にとっての価値・魅力を持ち、増やしていかなければならない。

森田新会長のご意見

JARL森田新会長が、ラジオ番組「ハムのラジオ」の第554回で、「今後JARLがやるべきこと」を語っていらっしゃいます。ビューロー問題、電子QSL問題についても語っていらっしゃいますので、ぜひお聴き下さい。

脚注)この記事は、森田会長他複数の理事や浜田氏にも見て頂いておりますが、前半の内容の正確性や後半の私見に関する責任は、すべて7K1BIB山内にあります。

(2023-08-15 記)

ARRLでは、LoTWの全面再構築作業が進められているようです。今年1月の理事会(Board Meeting)の議事録に記載されています。関係箇所のDeepLによる機械翻訳(を少し修正したもの)と、その原文を載せておきます。ARRLの会員でなくても読めます。また、理事会から委員会に具体的な指示がされていることなど、JARLにとっても学ぶべき所は多いと思われます。

20. Baker理事が提案し、Ryan理事およびStratton理事が賛成した:

Logbook of the World (LoTW)は、ARRLが会員および非会員に提供するサービスの中で最も人気があり、信頼されているサービスの一つとなっており、登録されているコールサインは150,000を超え、16億のQSOレポートがシステムに登録されている;

アプリケーションのソフトウェアとアーキテクチャは20年以上前のもので、Windows 98の時に作成されたものである;

ユーザーは、時々、LoTWをリアルタイムでインタラクティブに使おうとしており、現在のシステムに悪影響を与えている;

現在LoTWをサポートしているアーキテクチャーとソフトウェアは、このような作業負荷のために設計されたものではなく、既存のシステムを変更したり保守したりしようとしても、ユーザーの進化する要求に現実的に追いつくことはできない;

LoTWは、リアルタイムのラジオスポーツの新しい形態に適しておらず、そのため、古くなった複雑さによって、若いユーザーがLoTWを使用することを躊躇している。

よって、ARRL理事会は、LoTWおよびRadiosport、ゲーム、高性能分散データベースに関する豊富な実証経験を持つ理事、CEO、IT部長、およびユーザーコミュニティのメンバーで構成されるアドホック・ワーキンググループを設置することを決議する。Radiosportプラットフォーム委員会は、機能仕様、アプリケーション・アーキテクチャ、およびインフラ設計を、できれば弾力性のあるクラウド環境において、機能およびセキュリティの面で現在のLoTWのニーズを満たすとともに、拡張性、スケーラビリティ、および本稼働後少なくとも10暦年間のニーズを満たすための変更の容易性をも満たすように開発することを任務とする。

さらに、取締役会はCEOに対し、この事業の第一責任者としてITプロジェクトマネージャーを募集・雇用する権限を付与する。

さらに、特別作業部会は、2023年7月の理事会会合で作業部会の進捗状況を報告し、2024年1月の理事会会合で、現在Logbook of the Worldが行っているすべての機能を実行し、コンテストの作業量をリアルタイムで処理し、双方向の応答が可能なインターネットベースの次世代ラジオスポーツ・ソリューションを会員に提供するために、理事会が承認し、資金調達も可能な計画と予算を提示することを目標とする。

LoTW委員会はLoTWサポート委員会に発展

2019年以降、LoTW委員会はLogbook of the Worldの運用と保守に関する監督と指導を行ってきた。

2023年からは、次世代のRadiosportプラットフォームを構築するための新たな開発努力が行われる;

よって、現在のLoTW委員会を発展させ、LoTWサポート委員会と改称し、ARRL総務財務委員会が任命し、報告する一時的な委員会として、LoTW環境が廃止され、新しいシステムに置き換わるまで、その運用と維持に焦点を当て続けることを決議する。

審議の結果、本議案は全会一致で承認された。

20. Director Baker moved, seconded by Director Ryan and Director Stratton:

WHEREAS, Logbook of the World (LoTW) has become one of the most popular and relied upon services that ARRL provides to members and non-members alike, with over 150,000 callsigns enrolled and 1.6 billion QSO Reports in the system;

WHEREAS, the applications software and architecture is more than two decades old, created at the time of Windows 98;

WHEREAS, users are moving from using LoTW on an occasional basis to trying to use it on a realtime, interactive basis, which negatively Impacts the current system;

WHEREAS, the architecture and software currently supporting LoTW was not designed for this workload and will never realistically be able to keep up with the evolving demands of its users by trying to modify or maintain the existing system;

WHEREAS, LoTW is not suited to new forms of real-time Radiosport – and this deters younger users from using it by its antiquated complexity.

THEREFORE, be it resolved that the ARRL Board will create an ad hoc working group, comprised of board members, the CEO, the Director of IT, and members of the user community, all who have extensive demonstrated experience with LoTW and Radiosport, Gaming, and high-performance distributed databases. The Radiosport Platform Committee is charged to develop functional specifications, an application architecture, and an infrastructure design, preferably in a resilient Cloud environment that meets the needs of the current LoTW in terms of function and security, as well as extensibility, scalability and ease of change to meet needs for at least 10 calendar years after go-live.

And Further, the board hereby authorizes the CEO to recruit and hire an IT Project Manager who will be assigned responsibility for this undertaking as a primary responsibility.

And Further, the ad hoc working group will report back to the board at the July 2023 meeting with a progress update on the working group with the target to present at the January 2024 meeting a plan and budget that the board can approve, and potentially fund raise for, to deliver to members the next generation of an Internet based Radiosport solution to perform all functions currently done by Logbook of the World, with the ability to handle real-time contest workload with interactive response.

LoTW Committee evolved into LoTW Support Committee

Since 2019 the LoTW Committee has provided oversight and guidance on the operation and maintenance of Logbook of the World, and

Beginning in 2023 a new development effort will be undertaken to create the next generation of Radiosport platform;

THEREFORE, be it resolved that the current LoTW Committee will be evolved and renamed the LoTW Support Committee as a temporary committee appointed by and reporting to the ARRL Administration and Finance Committee to continue focusing on operating and maintaining the LoTW environment until such time that it has been sunset and replaced by a new system.

After a discussion, the Motion was APPROVED by unanimous vote.

なお、今年7月の理事会に中間報告がされる予定だったようですが、その議事録にはとくに何も記載されていません。

(以上、2023-08-15 09:00追記)

7件のコメント

  1. 日本国内QSLビューロー問題解決のためにLoTWに乗っかることには反対です。
    本来、LoTWはARRL主催のアワードDXCC,VUCC,WAS,WPX獲得の効率化のために作られています。
    確かにJCC/JCG/AJA情報もレコードとしてLoTWはすでに持っていますが、JAのアワードに使うとなると厄介です。市・郡の合併消滅した時のメンテや、アワードに使える日時・期間やらのメンテが伴います。ARRLに対価を支払って依頼するにはJCC/JCGは複雑すぎます。
    また、現状の紙QSL交換枚数はXXアワード**アワードなどクラブが発行しているアワードハントのための交換が大きな比重を占めているのではないでしょうか。紙QSLカード発行が国内対国内と国内対海外の割合も概要を調査する必要があります。
    やはり既存のhQSLシステムに手を入れてJARL基準に採用するほうが今後のデータメンテ等々費用も少なく、効率よく、また柔軟なシステム管理が可能です。

    Introducing Logbook of the World
    Logbook of the World (LoTW) is an online service that enables you to
    electronically submit contacts (QSOs) for confirmation
    view your submitted QSOs and resulting confirmations online
    view your DXCC, VUCC, WAS, WAZ and WPX award progress online
    electronically submit confirmations for credit toward DXCC, VUCC, WAS, WAZ and WPX awards

    LoTW’s Mission
    LoTW’s defining role is to provide confirmation of two-way amateur communications with impeccable reliability and security. LoTW maintains a record of logged and confirmed contacts, and identifies confirmations associated with supported awards.

    • JCC/JCG/AJAが変わることはそんなに頻繁にあるわけではないので、更新作業はそれほど大きな問題ではないと思いますが、いずれにせよARRLとの協議がうまくいけばいいので、最初からLoTWの可能性を排除する必要はないと思います。hQSLは「紙カード交換の代わり」という位置づけであって、電子QSL=QSLデータのマッチングとアワード申請への利用とは別の話です。分けて考えた方が良いかもしれません。

  2. LoTWはDXCC申請の敷居を下げて、DXCCを申請する人を増やし、申請料を得るというシステムだと思います。特にFT8の出現でDXCCメンバーになるための100エンティティの交信が容易になったのはLoTW、DXCCに追い風かな? まあ、どれくらい申請が増えたかは把握してないんですけど(汗) ただ、LoTW自体はQSLカード発行の仕組みはないので、QSL発行サービスは必要だし。JARLアワードをLoTW経由で発行するにはユーザーは交信データごとの使用料と、JARLにはLoTW使用手数料がかかるのではないでしょうか? そんな金をかけるなら、JARL独自システムを作ってアワード申請手数料を丸取りした方がはるかに効果的なような気がします。そのシステムなら、業者に頼まないでもハムの手で安く作れるように思いますが?

    私の考える現実的妥協案 –> たたき台です
    (1) 国内局用には、JARL会員期間の交信の受け取れる電子QSL発行システムを作る。
      *JARL会費は大事 会員期間という縛りを付けて会員の確保。
    (2) 複数のカードを使うときは追加料金を取る。
      *取れるところから金をとる
    (3) そこにはJARLアワード申請システムを付加する。
      *アワードで金儲け。電子QSLを使うメリットが他にもあればいいのですが。
    (4) 海外局は無料で使用できる。ただし、eQSLのように、カラフルなQSL作成には料金を取る。 複数のカードを使うときは追加料金を取る。
      *取れるところから金をとる
    (5) 旧電子QSL委員会委員長始め、全く役立たずだった委員のクビを切る。
      *役立たずはクビ。緊張感も危機感もない奴らの居場所はない。

    • ご指摘のとおり「業者に頼まないでもハムの手で安く作れる」のかどうかがまさにポイントだと思います。委員会で詳細に調査検討していただきたいと思います。

  3. 私が紙QSLカードを正にしている理由は、電子の場合自動的に発行されていることが多く、特に移動QSOしている局が移動先を記載していない、または間違っている事が多く使えない場合が多いからです。
    マイナンバーカード同様に電子化には使う側もちゃんと利用の仕方を覚える必要があると感じています。
    私はQSLカードの転送以外の費用の削減(例えばJARL会報の電子媒体のみにする)や転送回数を年3〜4回にしてその浮いた分を仕分け費用に充てるなど検討した方が現実的なように思えます。

    • 前段のご指摘は、記事本文の(4)のところで少し触れましたが、電子QSLにログをアップするときは、自局の運用地毎に分けてアップしなければいけないのに、それがなかなか面倒で、電子QSLのハードルを高くしているという問題ですね。確かに啓蒙活動が必要な点だと思います。そのギャップをアップロードソフトで埋められればありがたいというのが、私の私見です。
      紙JARLニュースの問題は、JARLの広報体制という文脈で、改めて考えてみたいと思います。ありがとうございました。

  4. QSLカードは、アワードに使う場合とQSOの結果としてのコレクションにつかう場合と2つあると思います。(アワードにはQSLの現物を要求するアワードも存在する事も考慮すべきと思いますが)
    LOTWの様にQSLの電子化が必要な事は論議の必要が無いと思いますが、紙QSLが必要無くデータだけで良い事がQSL発行者に伝わるシステムがあれば相当紙QSLは減らせると思います。そう考えると、ハムログの開発者との話し合いが必要と思います。JARLが頭を下げて協力をお願いする事が必要でないかと・・・

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