MMSSTVの設定(IC-7300, FT-857D)

先日の8J17CALL集中運用の際に、SSTVを運用しました。忘れる前に、MMSSTVの設定をメモしておきます。

SSTVの運用では、音声でやりとりしたあとに画像を送信したり、画像送信後に音声でQSOしたりするので、画像を送信する前後はマイクからの音声を変調に乗せ、画像送信中はDATA入力端子からの音声信号を変調に乗せるようにしたい、という点がポイントです。

参考とさせていただいたサイト

MMSSTVの設定(JI3URS)
 http://www.eonet.ne.jp/~ji3urs/mmssop1.html
IC-7300M + MMSSTVでSSTV運用開始(向島ポンポコ日記)
 https://tanukijima.at.webry.info/201708/article_10.html

設定ファイル

最初に、作った設定ファイルを置いておきます(自己責任でどうぞ)。

MMSSTV_7K1BIB.zip

  1. 上のzipファイルをダウンロードし、適当な場所(MMSSTVのインストールフォルダ等)にに解凍する。
  2. IC-7300を使うときは、MMSSTVのメニューのオプション→MMSSTV設定画面→送信→Radio Commandと進み、下の「Load」ボタンを押して、「IC-7300.rcm」を読み込ませる。PortとBaudレートを適切に設定する。「その他」のタブの「サウンドカード」も適切に変更する。
  3. FT-857DMを使うときは、「Load」ボタンを押し、7MHz帯以下(PhoneでLSBを使う周波数帯)のときは「FT-857D_40m and Down.rcm」を、14MHz帯以上(PhoneでUSBを使う周波数帯)のときは「FT-857D_20m and UP.rcm」を読み込ませる。PortとBaudレートを適切に設定する。「その他」のタブの「サウンドカード」も適切に変更する。リグ本体の「DIG」の設定を「USER-L」または「USER-U」に変更することを忘れずに。

以上で、SSTV送信中のみ、MMSSTVからのSSTV信号が変調に乗り、その前後はマイクの音声が変調に乗るようになります。

なお、MMSSTVからモードと周波数もコントロールしたい場合は、「Mmsstv.ini」内の [RadioMenu] に「Mmsstv.ini_RadioMenu_Replace.txt」の中身を上書きします。「Mmsstv.ini」内の [RadioMenu] を書き換えることにより、MMSSTVの「リグコントロール」メニューが以下のように変わります。FT-857の「DIG USER-L」等は、「リグ本体のメニューからDIGモードを設定し直す」ことを忘れないように書きました。

以下、設定ファイルの解説です。

IC-7300の設定(解説)

オプション→MMSSTV設定画面→送信→Radio commandは、先人のお知恵を参考に、以下のように設定しました。

画面下の「Save」ボタンを押すと、Commandsの設定を拡張子「.rcm」のファイルに保存することができます。IC-7300の.rcmファイル「IC-7300.rcm」の中身はこのようになりました。

[RADIO]
 CmdInit=
 CmdRx=\$FEFExxE01C0000FDFEFExxE01A060000FDFEFExxE014150000FD
 CmdTx=\$FEFExxE01A060101FDFEFExxE014150013FDFEFExxE01C0001FD\w10
 Cmdxx=94
 PollType=3
 PollInterval=5

(ウェブサイト上で「\」(バックスラッシュ)に見える文字は、ファイル等にコピペすると半角の「¥」になります。)

IC-7300の「補足説明書」2ページによれば、CATコマンドのフォーマットは以下のとおり。

「コマンド」「サブコマンド」「データエリア」の意味を、「補足説明書」を見ながら解読します:

RX:
FEFExxE0 1C00 00 FD:  送受信の切り替え 受信に
FEFExxE0 1A06 0000 FD: DATAモードOFF、フィルタはデフォルト設定に戻す
FEFExxE0 1415 0000 FD: モニターゲインの設定 0%

TX:
FEFExxE0 1A06 0101 FD: DATAモードON、フィルタ1に
FEFExxE0 1415 0013 FD: モニターゲインの設定 13/256=約5%(?)
FEFExxE0 1C00 01 FD:  送受信の切り替え 送信に
(参考サイトと異なり、モードを切り替えてから送信するように順番を変更しました。)

次に、MMSSTVのメニューから周波数やモードを切り替えられるようにします。MMSSTVの「リグコントロール」をクリックすると周波数切り替えのプルダウンメニューが出てきますが、「Mmsstv.ini」ファイルの末尾 [RadioMenu] の記述に対応しています。その部分に以下の記述を追記してみました。「Cap」「Cmd」の後の数字を変更するとメニューに出てくる順番を変更できるようです。最初の行の「Menus=5」を「Menus=メニューの合計数」に増やすことも忘れずに。

Cap1=7.180 LSB (IC-7300)
Cmd1=\$FEFE94E0000000180700FDFEFE94E0010002FD\w10
Cap2=14.230 USB (IC-7300)
Cmd2=\$FEFE94E0000000231400FDFEFE94E0010102FD\w10
Cap3=21.340 USB (IC-7300)
Cmd3=\$FEFE94E0000000342100FDFEFE94E0010102FD\w10
Cap4=28.680 USB (IC-7300)
Cmd4=\$FEFE94E0000000682800FDFEFE94E0010102FD\w10

各コマンドの構成部分を解読:

FEFE94E0 0000 00180700 FD: 周波数を「07.18MHz」に変更
FEFE94E0 0000 00231400 FD: 周波数を「14.23MHz」に変更
FEFE94E0 0000 00342100 FD: 周波数を「21.34MHz」に変更
FEFE94E0 0000 00682800 FD: 周波数を「28.68MHz」に変更
FEFE94E0 0100 02 FD: 運用モードを「LSB」に、フィルタを「FIL2」に変更
FEFE94E0 0101 02 FD: 運用モードを「USB」に、フィルタを「FIL2」に変更

周波数は2桁ごとに、下の桁から逆順に10桁の数列で指定します(ややこしい)。


FT-857DMの設定(解説)

取扱説明書によれば、FT-857DのCATコマンドは以下のとおり。

モード設定コマンドの最初の2桁が、LSBは「00」、USBは「01」、DIGは「0A」であることに留意。周波数の指定は素直に桁の順番通りです。

FT-857Dのモード切り替えで「DIG」を選択すると、マイクからの音声入力が切れ、リアパネルの「DATAコネクター」からの入力が変調に乗るのですが、USB側を使うかLSB側を使うかは、リグ本体の設定メニューNo.38で設定します。残念ながらCATではコントロールできないようです。

(余談ですが、FT-857Dの取説には、DIGモード時の「RTTY」「PSK-31」「USER」それぞれ何が違うのかが書いてないのですが、このサイトによれば、フィルタの効き方が違うようです。)

以上を踏まえ、面倒ではありますが、PhoneでLSBを使う7MHz帯以下と、USBを使う14MHz帯以上で、設定を分けることにします(なお、10MHz帯ではSSTVの電波型式「F3F」はJAでは許可されていません。)。

7MHz帯以下の場合(LSB)

14MHz帯以上の場合(USB)

RXの真ん中あたりが、「00」か「01」かの違いです。

FT-857DMの.rcmファイルの中身はこのようになりました。

7MHz帯以下の場合(LSB) 「FT-857D_40m and Down.rcm」

[RADIO]
 CmdInit=\$0000000000
 CmdRx=\$0000000088\$0000000007
 CmdTx=\$0A00000007\$0000000008\w10
 Cmdxx=94
 PollType=2
 PollInterval=5

14MHz帯以上(USB) 「FT-857D_20m and UP.rcm」

[RADIO]
 CmdInit=\$0000000000
 CmdRx=\$0000000088\$0100000007
 CmdTx=\$0A00000007\$0000000008\w10
 Cmdxx=94
 PollType=2
 PollInterval=5

(「Cmdxx=94」の行は、IC-7300の設定が残ってしまったのかな?)

各構成部分を解読します。

Init:
00000000 00:周波数LOCK ON

RX:
00000000 88: PTT OFF
00000000 07: モードをLSBに変更
01000000 07: モードをUSBに変更

TX:
0A000000 07: モードをDIGに変更
00000000 08: PTT ON

FT-857Dの「リグコントロール」のため、「Mmsstv.ini」ファイルの末尾 [RadioMenu] に以下の記述を追記します。

Cap5=7.180 LSB (FT-857) DIG USER-L
Cmd5=\$0071800001\w10\$0000000007\w10
Cap6=14.230 USB (FT-857) DIG USER-U
Cmd6=\$0142300001\w10\$0100000007\w10
Cap7=21.340 USB (FT-857) DIG USER-U
Cmd7=\$0213400001\w10\$0100000007\w10
Cap8=28.680 USB (FT-857) DIG USER-U
Cmd8=\$0286800001\w10\$0100000007\w10
Cap9=144.450 USB (FT-857) DIG USER-U
Cmd9=\$1444500001\w10\$0100000007\w10

CATコマンド解読:

00718000 01: 周波数を7.180MHzに変更
01423000 01: 周波数を14.230MHzに変更
02134000 01: 周波数を21.340MHzに変更
02868000 01: 周波数を28.680MHzに変更
00000000 07: モードをLSBに変更
01000000 07: モードをUSBに変更

(2020-12-06 記)

.rcmファイルは、MMTTYやMMVARIの設定にも使えました。

(2020-12-06 追記)

2件のコメント

  1. SSTVの設定参考にさせていただきます。十数年前はSSTVもそこそこアクティビティはあったようですが、最近はどうなんでしょうか。コンディションもあるのかもしれませんが、FT8の手軽さに皆さん行ってしまい、レガシーモードの元気がないように感じます。Hi

    • 新井さんコメントありがとうございます。今ちょうど、ISSからのSSTV送信イベントが行われていますね。SSTVもRTTYもFT8とハードは同じですので、FT8をきっかけに他のモードも盛んになるといいですね!

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