「7041問題」(7MHz国内FT8周波数移転問題)の論点整理

2021年9月26日付けの記事「国内FT8周波数が7041kHzから7037kHzに移行?(追記あり)」の続きです。

ラジオ番組「ハムのラジオ」が、2022年1月16日(日)の放送で「7041問題」という言葉を使っていましたので、私も同じ呼び名を使わせていただくことにしました。

IARUの新バンドプラン案

現在、IARUにおいて、バンドプランの改訂が議論されています。この議論、今に始まったことではなくて、実は2020年3月頃から始まっていたようです。JARLには当然はじめから情報が行っていたと思うのですが、その間、一般ハムに向けて情報提供されたことはありませんでした。

現時点の新バンドプラン案は、IARU第3地域総会資料集から誰でもダウンロードできます
https://www.iarur3conf2021.org/documents/ )。「Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf」という名前のファイルです。下記ファイル名をクリックするとダウンロードできるはずです。全文英語ですが、重要な資料です。関心のある方は是非ご覧ください(JARLが日本語訳を用意してほしいものです。)。

Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf

新バンドプラン案の基本的な考え方は、データモードの激増を背景として、異なるモード間のQRMをできるだけ減らすというものです。

例として、7MHzのページを抜粋しておきます(クリックすると大きくなります。)。

Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf 24枚目
Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf
25枚目
Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf
26枚目

基本的に、

  • 7000-7040 CW
  • 7040-7080 Data
  • 7080-7200 Voice

と区分し、Dataの中はさらに

  • 7040-7044 PSK/Olivia
  • 7044-7060 RTTY
  • 7050-7065 ACDS
  • 7065-7080 FT8, FT4, JT65, JT9, Q65, JS8Call等

と細分化する、という案になっています。

JAのバンドプラン

7MHzでのFT8の周波数は、世界的には7074kHzですが、ご存じのとおり、JAでは、国が決めたバンドプラン(バンドプラン告示)の制約から、7074kHzでは国外局とのQSOしかできません。そのため、FT8の国内QSOは7041kHzで行われています。

ところが、7041kHzは、7040-7044をPSK/Oliviaとする、というIARUの新バンドプラン案とバッティングしてしまいます。今でも、7041kHzのJA国内FT8は、EU等で行われているPSK/OliviaにQRMを与えているそうなのです。

そこで、2021年9月のIARU第3地域総会で、JARLに対し、日本の国内FT8周波数を7041kHzから7030-7040kHzの間に変更できないかを検討し、2021年末までに回答せよ、という宿題が課せられました。

JARLの対応

その後、JARLからは特に表だった動きはありませんでした。IARUから上記の宿題が出されたとのアナウンスもなく、会員からの意見募集もありませんでした。そして、2021年11月20日・21日に開催された第57回理事会に、突然、以下の「協議事項2」が上程されました。

JARL第57回理事会報告より 

(ここから)
2.7MHz帯でのFT8による運用周波数について
 2021年9月20日(月)から22日(水)まで、3日間にわたって開催された第18回IARU第3地域総会(リモート会議)において審議された、第3地域バンドプランの改定について協議がおこなわれ、同総会において要請された7MHz帯でのFT8による運用周波数について協力して、周知活動をおこなっていくことで、全員異議なくこれを了承した。
(ここまで)

よくわからない文章ですが、IARUの要請をただそのまま「周知」する、と読めます。IARUの宿題は「検討し、回答せよ」だったはずですが、検討した様子はありません。

そして2021年12月13日、「7MHz帯FT8での国内局同士の運用周波数について -ご協力のお願い-」という文章が、JARL Webの奥の方にこっそり掲載されていることが「発見」されました。

JARL Webより引用 https://www.jarl.org/Japanese/A_Shiryo/A-3_Band_Plan/7MHz_FT8_info.html

この文書は、トップページからリンクが張られることもなく、文字通りひっそりと掲載されていました。これでは「周知活動」とはいえません。

また、その中身も、「今後、国内局同士のFT8による運用については、7030-7040kHz(キャリア周波数 7030-7037kHz)の帯域での運用とするように、デジタル通信をご利用の皆様にはご理解のうえ、ご協力いただきますようお願いいたします。」というだけです。どの周波数に移って欲しい、とは書かれていませんし、いつから移行して欲しいのかも書かれていません。これではアマチュア無線家側は、動きようがありません。

JARL会員課に問い合わせた友人がいます。このような返事が返ってきたそうです。

(引用ここから)
なお、今回の件につきましては、これまでに周波数委員会や理事会でご審議いただき、その結果をご案内させていただいているもので、すでにご案内させていただいておりますとおり、当連盟では各デジタルモー ドの運用周波数についての詳細な取り決め等は行っておりません
(引用ここまで)

つまり、JARLとしては、「この問題について音頭を取るつもりはない、FT8ユーザーに任せるから新周波数は勝手に決めてね」ということなのです(なお、周波数委員会でご審議頂いたと書かれていますが、第57回理事会報告には、周波数委員会が開催されたとは書かれていません。)。

JARLからIARUへの回答期限は2021年末でしたが、どのような回答をしたのかも公表されていません。

7MHz国内周波数は誰が決める?

ネット上には、7MHzの国内FT8周波数は慣習的に決まったものだから、新しい周波数も、JARLが決めるのではなく、FT8ユーザーの間で自然と決まっていけばよい、との意見も見られました。ですが、今後、新周波数は自然に決まるでしょうか。

無線通信は相手があって初めて成立します。特にFT8の場合、皆が同じ周波数に集まってQSOする慣習が確立しています。現状、7041kHz以外の周波数でCQを出しても、まず呼ばれません。呼ばれないから、7041kHzに戻らざるをえません。つまり、皆が7041kHzに集まっているという一旦成立したFT8の慣習は、誰かが音頭を取って、「いつ」「どこへ」移りましょうと呼びかけない限り、そうそう簡単には変わらないのです。現に、この記事を書いた今日も、7041kHzでは盛んにFT8の国内QSOが行われています。

JARLの理事会には、FT8のこのような特性を理解している理事がいなかったのではないでしょうか。

また、皆が7030-7040kHzの間の好きなところでバラバラにQSOを始めたらどうなるでしょうか?却ってQRMは増えてしまいます。元も子もありません。

では、FT8ユーザーの誰か個人が、音頭を取って決められることでしょうか・・?その前に、考えられる具体的な選択肢を検討してみます。

考えられる選択肢

ネット上の議論も含め、各局の意見を整理すると、大きく分けて以下の選択肢が考えられそうです。

  • 案1:「7065-7080kHz」で国内QSOもできるようにする。
  • 案2:「7030-7040kHz」のどこかに、国内FT8周波数を動かす。
  • 案3:「7100kHz以上」のどこかに、国内FT8周波数を動かす。

案1:「7065-7080kHz」で国内QSOもできるようにする

バンドプラン告示の「注2:7,045kHzから7,100kHzまでの周波数は,外国のアマチュア局とのデータ通信に使用することができる。」を削除してもらう、という案です。これなら、IARUの統一バンドプランにJA用の「例外」を設けてもらわなくても済みます。そもそも、この注2の制約はなぜ存在するのでしょうか?あまり合理的とも思えません。

注2:7,045kHzから7,100kHzまでの周波数は,
外国のアマチュア局とのデータ通信に使用することができる。
(JARLバンドプランより引用)

この「注2」は、バンドプラン告示で定められているものですので、総務省に掛け合って告示を改正してもらう必要があります(あるいはこの際、バンドプラン告示からHF帯は外してもらい、JARL限りで柔軟に決められるようにしてもらうという手も考えられます。)。すぐに実現できるものではないでしょう。

なお、JARLのアナウンスには、総務省に告示の改正を働きかけるとは書いていません。JARLとしては、総務省への働きかけはしない、ということでしょうか。

案2:「7030-7040kHz」のどこかに、国内FT8周波数を動かす

IARUの資料には、7037kHzという数字がみられます。7030-7040kHzのはしっこ、という意味でしょうか。しかし、これはあくまで「suggestion(示唆)」であり、ここにしてくれというわけでなく、議論のスタートと考えられます。では、7037kHzがよいでしょうか。

(1) 7037kHzは、その付近に出ているロシアの軍事ビーコンからのQRMがありそうです。

(2) 7038.6kHzで行われているWSPRとの関係も問題となりそうです(IARUでは、7038.6kHzはダイヤル周波数であり、実際にWSPRの信号が出ているのは「7040.0-7040.2kHz」なので、7037kHzでFT8の信号(7037-7040kHz)を出してもギリギリかぶらないと整理されているようですが、本当に大丈夫でしょうか。)。

Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf
26枚目より

(3) 7030-7040kHzのどこに移すにしても、CWコンテスト周波数帯「7010-7040kHz」とバッティングしてしまうのが大きな問題です。ネット上には、7030-7040kHzに移すことに対するコンテスターからの強い異論が多く見られました。そして、JARLのコンテスト委員会委員長が、2021年12月28日付けでJARL会長宛に異議申立書を提出されています。詳しくは、委員長のブログ記事をご覧下さい。

12/28 JARL会長宛にFT8周波数移行について異議申立書を出した

「7.030-7.040MHzにFT8が移ってくればCWでのコンテストは大混乱に陥るのが明白だけど、コンテスト委員会には事前にまったく情報が伝えられず、相談も無かった。」というのですから、ひどい話です。

(4) さらに、7030-7040kHzに移行すると、RTTYとのQRMが発生するという指摘もありす。ただし、IARUの新バンドプラン案では、RTTYは7044-7060kHzに移行させる計画なので、国際RTTYとJA国内FT8のQRMは徐々に解消されていくかもしれません。ですが、国内RTTYをどこでやるのか、という問題は残ります。

(5) そもそも、国際的なハーモナイゼイションとして、7000-7040kHzをCWの周波数帯にしようという計画なのですから、国内FT8を「7030-7040kHz」のどこに持っていっても、CWとの軋轢は避けられないように思います。

という次第で、第2案は、なかなか難しそうです。

(なお、私も実行委員会のメンバーとして参加した「バーチャル・ハムフェス2021」併催の「社会実験・FT8 QSOパーティ」において、当初、IARU-R3からJAに対する今回の要請を踏まえ、推奨周波数を「7030~7040kHzまでの1波(有力候補として7031kHz)を開催日までに指定する。」としつつ、皆さんのご意見を伺いたい、としていました。すると、7030~7040kHzの間ではCWやRTTYとの混信、軍事レーダーの影響、当日はEU主催のRTTYコンテストがある等、たくさんの有益なご指摘を頂き、 実行委員会として「7030~7040kHz」は避けるべきと判断した、という経験をしています(7151kHzを第1推奨周波数、7154kHzを第2推奨周波数として当日を迎えましたが、QRM状況に鑑み、開始後間もなく、ご参加の皆様に呼びかけてさらに7181kHzに変更して頂きました。)。この過程で、厳しい言葉や決めつけを浴び(例えば、7031kHzでQSOパーティを「強行しようとした」などという事実はありません。)、半ば炎上気味になってつらい思いもしましたが、やはり、アマチュア無線家の皆様の意見を広く伺うことは有益でした。「7030-7040kHz」内に国内FT8周波数を移行させるのは相当難しいと認識した次第です。)

案3:「7100kHz以上」のどこかに、新国内FT8周波数を決める。

IARUの新バンドプラン案には、随所に「JAでは、7045kHz以上ではJA局同士のDataモードのQSOが禁止されている」と書かれています。

Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf 24頁

ですが、正しくは、JAのバンドプラン上、7100kHz以上は「狭帯域の全電波型式」と指定されており、JA局同士のFT8でのQSOは可能です。この点をJARLがきちんとIARUに伝え、IARUの議論のベースになっていたのかどうか、IARUの資料からはわかりません

(JARLバンドプランより引用)

この点を正しく伝えれば、IARUでも、「なんだよ、7100kHz以上でOKなら、7030-7040kHzなんて狭いところに行かないで、7100kHz以上に持っていこうよ」ということになったかもしれません。

客観的に見れば、「7100-7200kHz」の方が「7030-7040kHz」よりも広く、例外的に国内FT8の周波数を認めてもらっても問題は小さいのではないでしょうか。10kHzも取る必要はなく、5kHzで十分と思われます。

早まるのは禁物ですが、もし、国内FT8の周波数を7100-7200kHzに持っていけるとした場合、さらにIARUの新バンドプラン案の以下の点を考慮する必要がありそうです。

Attachment to Doc.031 International Amateur Radio Union – HF band plan revision 2021 – Proposal .pdf
26枚目より
  • 非常用通信周波数を、世界的に7110kHz(7105-7115kHz)に統一することが提案されていること(第2地域の非常用通信周波数を7060kHzから7110kHz に移行し世界的に統一)
  • コンテスト優先周波数を「7080-7100kHz」及び「7130-7175kHz」とすることが提案されていること

なお、7100kHz以上のどこに持って行くにしても、FT8による国内QSOなのですから、できるだけQRPで行い、SSB(特に外国のSSB)にQRMを与えないようにする国際的な配慮が必要ではないでしょうか。

(なお、現在のJARLのコンテスト周波数は「7060-7140kHz」ですが、IARUの新バンドプラン案ではSSBの下限が7080kHzとされていること、7110kHzの非常用通信周波数はあけておくべきであろうことから、いずれにせよコンテスト周波数の見直しが必要と思われます。IARUの新バンドプラン案で「7080-7100kHz」及び「7130-7175kHz」がコンテスト優先周波数とされていることが参考になりそうです。)

整理

以上まとめますと、「7041問題」を解決するためには、例えば、以下のような対応が必要ではないでしょうか。

  • (1) IARUに対し、JAでは7100kHz以上でも国内FT8が可能であることを正しく伝え、JAのためのデータモードの例外は「7030-7040kHz」ではなく、7100kHz 以上のどこかに今から変更してもらえないか、と逆提案する。
    →もっとも、IARUの議論は相当進んでいますので、今からドラスティックな提案をしてももう遅すぎるといわれてしまうかもしれません(IARUのバンドプラン改革は2020年3月から始まっていたのですから、JARL執行部がもっと早く周波数委員会やコンテスト委員会などにきちんと諮問し、一般ハムからの意見も聞き、本気で取り組んでくれていれば、こんなことにはならなかったのにと思います。残念です。)。
    →IARUのバンドプラン案の変更が受け入れられなかったときは、①CWとのQRM覚悟で「7030-7040kHz」内にFT8国内周波数を持って行くか、②IARUの新バンドプラン案には反すること覚悟で、7100kHz以上にFT8国内周波数を持って行くか、の決断を迫られてしまいます。。
  • (2) 「7030-7040kHz」にしても「7100kHz以上」にしても、その中で国内FT8用の特定の周波数を決める。
  • (3) その周波数に移行する日時も決める。
  • (4) 新バンドプラン案にあわせて、コンテスト周波数を変更する。
  • (5) 以上を、あらゆる手段を使って広報する。ウェブ等でのアナウンスだけでなく、新周波数でのQSOパーティを開催したらどうでしょうか。
  • (6) 以上と平行して、バンドプラン告示の改正に向けて、総務省と協議する。

さらに、いずれにせよ、海外へのQRMを避けるために、国内QSOはできるだけQRPで運用するよう呼びかけることも必要でしょう。

さて、これだけのことを、FT8ユーザーの誰かが音頭を取って実現できることでしょうか・・?私は、個人では相当難しく、やはりJARLが組織として取り組むべき課題だと思います。

黒点数が上昇するこれからの時期に、FT8ばかりでなく、RTTYやPSKといった他のモードでDX交信のチャンスを広げるために、7040-7060kHzをRTTYやPSK用にクリアにするという提案は、JAを含む全世界のアマチュア局にとってメリットがあると思います。ですが、このままでは、7041kHzでの国内FT8が、世界に迷惑をかけ続けることになりかねません。JAとして恥ずかしいことではないでしょうか。

JARL現執行部におかれては、この「7041問題」の解決をユーザーに丸投げするのではなく、改めて、真正面から取り組んで頂きたいと思います。


付録

IARUの新バンドプラン案資料には、WSJT系デジタル周波数についての「提言」も書かれています。とても興味深い内容です。

例えば、7MHzでは、FT8を7074-7080(dialとしては7074と7077)にしたらどうかと提言されています。7074だけでは混みすぎなので”散らしませんか?”というアイデアと思われます。

14MHzでは、FT8は14074-14083とされ、ダイヤル周波数としては14074、14077、14080の3つも示されています。

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私は密かに、FT8は混みすぎなのでもっと散らしたら良いのにと思っていました。この「提言」が実現すれば、QRMが相当程度解消されそうです。

さすがIARU、とてもよく考え抜かれています。JARLも逃げていないで、IARUのメンバーとして、このバンドプラン改革が前に進むよう、積極的に協力すべきではないでしょうか。

(2022-01-21 記)

14件のコメント

  1. コメントですが、

    ———————————————————————————————————————————-
    バンドプラン告示の「注2:7,045kHzから7,100kHzまでの周波数は,外国のアマチュア局とのデータ通信に使用することができる。」を削除してもらう、という案です。これなら、IARUの統一バンドプランにJA用の「例外」を設けてもらわなくても済みます。そもそも、この注2の制約はなぜ存在するのでしょうか?あまり合理的とも思えません。
    ———————————————————————————————————————————-
    とこの制約の合理性を曖昧にして論を展開されていらっしますが、以前JARLバンドプランでの注の歴史を調べましたら小生の「合理性」に関して以下の結論になっています。

    2004年頃にデジタル化を契機とした国内規定の「諸外国のEMEとの整合性を考慮」であり、現在のHF帯に広がってきたJT65に対して「国内のルールが障害となり国際間の通信が不能とならないようにする」との整合性にとどめた改正である。

    上記以外の合理性に関して2015年頃3.5MHzと7MHzでJT65の国際周波数での運用を認めてもらうために周波数委員会で提案側の委員が「海外との通信は国内SSBの運用ができないときが主であるため」が利点として述べられたことを根拠として現在でも言及されている方はいらっしゃいますがJARLとして正式な文書で述べられていませんのでIARU等で説明する必要はないと考えています。

    なお、2004年と2015年のJARL周波数委員会の資料は以下で閲覧できます。

    https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/freq.htm

    クリックしてh25-ikenboshu.pdfにアクセス

    結論としてこの注の合理性は「国内のルールが障壁となり国際間の通信が不能とならないようにする」であり2015年のJARL周波数委員会のバンドプランの改正方針は「①国際的な整合を最優先とする」であることから「今回のIARU提案は世界的な統合プランの実現という過去になかった大改正であり国内ルールの変更は必須である」ことを認識すれば何をすればよいのかは明々白々ですから我々側が敢えて論点整理するほどのことでないと小生は思っています。

    • AEAさん貴重な情報をありがとうございます。「国内のルールが障壁となり国際間の通信が不能とならないようにする」とは、言い換えれば「国際間の通信に限って可能とし、国内通信は敢えて可能とはしない」という意味でしょうね。それにしても、以前のJARLは、会員の意見を聞こうとしていました。

      • 読み換えを試みられる意図がわからないので答えようがありませんが、2015年の募集の頭書きは今でも十分通用できる基本方針だと思います。2017年頃に近所でJT-65の3.5MHzのオフバンド問題の解決を話していた時にこの頭を誰が書いたか確認するのを忘れてしまいましたが当然小生の目の前にいるご本人だと思っていました。この方はアマチュア界への恩返しで元会長に請われて就任された移動通信界のプロで書かれる文章は朝まで推敲されているのをよく知っています。何をすべきかは2人が一番知っているので作業は事実確認と分担を決めるだけでした。結果としてオフバンドの解決のみと思っていましたがついでにこれ以上たくさんの波を取って頂きました。十分以上の恩返しはされたと思います。意見は誰でもつぶやける時代ですが結果を出せる人はいつの時代でも限られています。無償の役職なのに言いたい放題いわれて結果を出してもお礼は一切ないのですから引き受ける人はいないのではないでしょうか。山内さんが「国内通信を可能」とされればよいだけのことではないですか?

      • コメントを送った後に2015年のJARL周波数委員会のバンドプラン改正の方向性に関して再度読み返してみると2005年に初めて使われた「外国局とのデータ通信に限る」の注との間にはだいぶ時代的な乖離が読み取れます。すなわち2005年は国際的な整合性から2次的に運用を認めるから2015年以降は「最優先」とする立場だと思います。ならば今後は国内のルールである「CW、狭帯域の電話・画像」利用に対して一次的に「データ通信を優先する」とするか平等に「CW, 狭帯域データ、狭帯域の電話・画像」=狭帯域の全電波形式とするかが適当でしょう。IARUの提案とJARLの方向性が一致していることを根拠に提案すれば国内SSB利用者を含めた大方の支持を得られるのではないかと考え始めました。いかがでしょう?

      • 先のメールでは3.5MHzと7MHzに関しては「2015年のJARL周波数委員会のバンドプラン改正の方向性」をimplementしていない現状を指摘しましたが、2020年4月21日のバンドプランで新たに開放された1.8MHz帯については「外国局とのデータ通信に限る」の注はなく1830~1845kHzはCWと狭帯域データ専用になっています。これを見ると「2015年のJARL周波数委員会のバンドプラン改正の方向性」をすで一部implementされていることになります。また、2015年の方向性に別途書かれている「紳士協定」(総務省の告示は全電波型式)も一部実現されています。1.8MHz帯はSSBが割り当てられていないこともあり外国へのCQにはCQ DXをつけて注なしで国内外の区別なく整然と運用されています。ということで今後の適切な時期(例えばIARUの世界統一案が出来上がった時)にJARLと総務省の意見募集の機会をみて3.5MHz帯と7MHz帯でも具体的なimplement方法を提案すれば反対意見との調整に入るものと思います。以上が山内さんの「そもそも、この注2の制約はなぜ存在するのでしょうか?」に対する小生の理解です。論点整理の参考にして頂けば幸いですし、周波数委員会のメンバーに確認等を取っていただければ幸いです。

      • もう一つコメントをさせていただきますが、山内さんにはARRLのニュースレターの存在を教えて頂いたことは感謝しますが、その後のJARLの対応のチグハグをもって「7041問題」と名付けて早急に移行しなければいけないような話題作りは既存ユーザーを刺激するだけで我々にとっては得策ではないのではと危惧しています。この経緯は山内さんもメンバーでいらっしゃるDigital Mode DX Groupでの議論を通して昨年12月27日にwsjt-develに現状を教えてほいいと投稿したところVK5GRがIARUでの進捗状況を「In short – these challenges present significant headwinds to harmonisation of the data segment in the 40m band.」と返事をくれました。ということでIARUは一年かそこらで解決できるとは思われないだろうとの現状の認識を共有してもらいたいと思っています。このことから山内さんの論点整理の「もっとも、IARUの議論は相当進んでいますので、今からドラスティックな提案をしてももう遅すぎるといわれてしまうかもしれません」は違います。

        この中でVK5GRは欧州・アジア太平洋のSSB運用帯域である7074-7080kHzを米国中心のWSJTがORGとしたことが混乱を巻き起こしたとの歴史感を持っています。小生も同意ですからwsjt-develにWSJTの7040~7055kHz割当て案を主張してみました。しかしここにはCWだけでなく味方と思っていclassic dataが敵としているのですからこれ以上wsjt-developで深入りしたくないので小生は提案を即降ろして退散しました。

        Grantが最後に念を押して書いてあるようにこの話題のボールを現在持っているのは(小生が投稿したwsjt-developでも迷惑な問題を起こしたARRLでもチグハグなJARLでもなく)IARUですから我々の声はregional IARU societiesへ届けるべきとのことです。

        VK5GRの最後の部分を以下に張り付けておきます。
        ———————————————————————————————————————————————————-
        If amateurs wish to provide feedback, the correct route for feedback via the regional IARU societies. Feedback is welcome at this stage. We don’t have all the answers and may not yet have fully understood all of the problems. Now is your chance to provide feedback. I am also happy to also engage in further discussion, however as this is far more than a WSJT development it probably is best conducted outside this mailing list.

        以上です。論点整理とこれに基づく提案先の参考にして頂ければ幸いです。

  2. ご無沙汰しています。私もJARLに問い合わせた一人です。ほぼ同じような回答でした。そのため再度連絡をして具体的に示してもらわないと、他のモードの方々とのトラブルの原因になると言ったところ、委員には意見として伝えますとだけ言われました。私も未だにどこに移動して良いのか分からず現状のままです。

    • コメントありがとうございます。このままだと現状のままでしょうね。。現状のままとするのは一つのあり方ですが、JAが、国外のPSK/Oliviaに迷惑をかけ、QSOのチャンスを失っているデメリットをよくよく認識する必要があると思います。

  3. AEAさん、詳細なコメントをありがとうございます。ご示唆を受けて、バンドプランの変遷について別の記事を書きました。
    https://7k1bib.wordpress.com/2022/01/30/band-plan-7mhz/
    また、メーリングリストのアーカイブも見つけることができました。実は、VK5GR氏には私もメールでコンタクトしていまして、「もっとも、IARUの議論は相当進んでいますので、今からドラスティックな提案をしてももう遅すぎるといわれてしまうかもしれません」は、今年に入ってからの彼とのやりとりから感じたことです。ともあれJARLには、IARUと総務省のどちらともきちんと交渉してもらいたいものです。

  4. 山内さん、

    小生が新たに見つけた情報を山内さんも参加されている「https://www.facebook.com/groups/CQ.Digital」に書かせてもらっています。こちらの方が参加者も多いし山内さんの判断に正確性が増すのではと思っています。山内さんも移られませんか?今はIARU(たぶんIARU R3 Band Pan CommiteeルートからR3事務局経由で)がJARLに対してどのような要求をしているのか事実関係に興味を持っています。これは既に書かせて頂いていますが「その後のJARLの対応のチグハグをもって「7041問題」と名付けて早急に移行しなければいけないような話題作りは既存ユーザーを刺激するだけで我々にとっては得策ではないのではと危惧しています。」と書いてある通りです。

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