【速報】裁判所がJARLに対し会計帳簿・領収書7年分の開示を命令

一般社団法人日本アマチュア無線連盟(JARL)の社員有志22名は、JARL(会長:JG1KTC髙尾義則氏)に対し、過去7年分の会計帳簿及び領収書の開示を求める「会計帳簿等閲覧謄写請求訴訟」を提起していましたが、本日(2023年3月30日)午前10時、東京地方裁判所は、JARLに対し、髙尾氏が会長に就任した平成28(2016)年度から今年度まで7年分の会計帳簿・領収書全て(ただし最後の2週間分は除く)を開示するよう命ずる判決を言い渡しました。

判決主文

裁判所は、主文第2項で、JARLに対し、過去7年分の会計帳簿・領収書を社員有志に開示するよう命じました。

なお、主文第1項の意味は、「令和5年3月18日から31日までの会計帳簿・領収書は、審理が終結した3月17日の時点ではまだ作成されていないとJARLが主張するので、その部分は開示命令の対象から除外する」というものです(判決文10~11頁)。大きな問題ではありません。

判決理由のハイライト

会計帳簿・領収書の開示を求める理由

今回の訴えの原告となった社員有志22名は、

  1. 髙尾氏が会長に就任した平成28年以降、JARLの赤字決算が継続しており、会計帳簿等を確認してその原因を明らかにする必要がある、
  2. JARL執行部による不適切と考えられる支出が既に明らかになっているので、平成28年以降の会計帳簿を確認することで不適切な支出が判明する可能性が高い

と主張しました。裁判所は、そのような理由は具体的であり、法律の要件を満たすと判断しました(判決文11~12頁)。

領収書も開示

JARLは、領収書類は開示の対象ではないと主張しました。

ですが、裁判所は、領収書の開示を認めなければ、社員がJARLの経理状況について必要な情報を把握することができず、業務執行の是正を適切に行えないおそれがある、現に、過去に開示された領収書の記載内容から、社員らが問題視する飲食代などの具体的な支出の特定が可能になったとして、領収書類も開示の対象と認めました。

「現執行体制を打倒するためという政治的な理由」?

JARLは、社員有志の請求の目的は、「JARLの現執行体制を打倒するためという政治的な理由」であるから、開示を拒絶すると主張しました。

ですが、裁判所は、社員有志は、正に社員として保有する権利(社員総会での賛否の投票)に関する調査として開示請求をしていると認めました。そして、理事解任議案の提出など社員による責任追及が、結果的にJARLの現執行体制を変更することにつながるとしても、それは、会計帳簿の閲覧謄写請求がその重要な役割を果たしたことを意味し、不当なものではないとして、JARLの開示拒絶を認めませんでした(判決文14~15頁)。

ブログでの会計帳簿・領収書の公開は問題なし

JARLは、弁護士である山内がJARLの監査法人と連絡をとったために契約延長がなされなかったから、開示を拒絶すると主張しました。ですが、裁判所は、関連性が乏しく開示を拒絶する理由にはならないと判断しました(判決文16頁)。

また、JARLは、社員有志が過去の会計帳簿や領収書をブログで公開した結果、インターネット上の掲示板に被告関連の誹謗中傷が書き込まれるなど、迷惑行為を受け対応せざるを得なかったから、開示を拒絶すると主張しました。JARLが問題としたブログの公開記事はこちらです。

ですが、裁判所は、確かにブログ記事がきっかけとなって、インターネット上でJARL会長髙尾氏への批判等がされ、JARLに一定の負担が生じたことが推察されるが、社員有志が殊更にJARLの業務を妨害したわけではないと認めました。また、裁判所は、社員有志がブログ記事で会計帳簿等を公開したのは、JARL執行部に関する情報を社員に伝え、かつ候補者に関する情報を約6万人のJARL会員に伝達するためであって、不当な目的や態様は認められないと判断しました。

さらに、裁判所は、開示された会計帳簿等によって、仮に違法又は不当な支出が明るみになって、JARL会長髙尾氏への批判等がされる結果になっても、それを通じてJARLの業務が適正化されるのであれば、かえってJARL会員の共同の利益につながると明言しました。(判決文16~17頁)

訴訟の背景と今後

東京地方裁判所は、過去2回、令和2(2020)年6月8日令和3(2021)年5月31日に、JARLに対し会計帳簿を開示するよう命じる仮処分命令を下していました。JARL会長である髙尾氏は、顧問弁護士であるAuthense法律事務所(旧法律事務所オーセンス)をJARLの代理人とし、今回も会計帳簿・領収書の開示を拒絶する姿勢を示していましたが、東京地方裁判所はこれを認めませんでした。JARLとしては3回目の敗訴です

今回の開示請求訴訟について、JARL会長髙尾氏は、理事会に諮ることなく独断で訴訟対応を進めました。また、今年2月の理事会において、JR3QHQ田中理事が、会計帳簿の開示に応じることを決議する議案を提出したにもかかわらず、JARL会長髙尾氏は、これを無断で協議事項に格下げするなど、ガバナンスが効かない状況に陥っています。一般社団法人においては、全ての理事に議案提案権があり、理事の提案した議案を協議事項に格下げした髙尾氏の取扱は不適切でした。

今後、社員有志は、JARL会長髙尾氏に対し、3回目の敗訴を真摯に受け止め、控訴することなく今回の判決を受け容れ、会計帳簿の開示に速やかに応じるよう求めて参ります。

(2023-03-30 記)

4件のコメント

  1. JARLは現在問題となっている事項に
    ついて真剣に受け止める誠意が無い。
    その原因を炙りだし膿を出す。
    会員全てが今、望む事。
    今回の判決に真摯にJARLは答えなければ
    ならない。

    • コメントありがとうございます。JARLの現状を知らない方がまだまだ多いので、お近くの方にお知らせいただけるようお願い致します。

  2. […] 一方で、陳情が一定の段階まで進み、かつ、理事会やバックオフィスに受け入れられる判断が下された場合は、社員から然るべき機関にその段階で引き継がれるべきです。但し、現時点ではその様な段階に達していない、または受け入れられる判断が下されていないとの判断がある場合は、社員が個人として行動している場合もあります。ご承知の通り、私は前執行部下での過去7年分の会計帳簿及び領収書の開示を求める「会計帳簿…の1人です。そこで「前執行部を打倒した!あー、良かった良かった」で済む話ではなく、正常な形で組織再建が行われ、理事会から要請のある場合は現在私が個人として受け持っている陳情関係一切を引き継ぎ、JARLの本務の1つである「電波行政に対する圧力団体」として機能させる事が重要ではないでしょうか。 […]

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